明治二十七年(1894)、東京・八王子。織物の町で生まれた二階堂織物。
その手が受け継いだ道具と知恵が、いまのyamamayuの布を形づくっています。
目次
八王子と織物の記憶
八王子は古くから織物産地として栄え、近代には手織から力織機へと移り変わりました。 明治末には力織機が導入され、大正期にかけて普及が進みます。
地域としては「多摩織」に代表される技術系譜を持ち、紬や綟り(=絡み)など多様な技法が現在にも受け継がれています。
二階堂織物(1894–)からの系譜
明治27年(1894)に八王子で創業した二階堂織物は、時代の変化に合わせて仕事のかたちを変えながら、 家族の手で織りの技を継承してきました。山まゆの里染織工房(yamamayu)はその流れを受け継ぐ工房です。
受け継がれた道具:力織機と手織り機
力織機(TUDAKOMA・昭和初期)
古い力織機を整備しながら動かしています。糸切れ検知などの自動機能はなく、 織り手が目・音・手で状態を見極め、一打ちごとに布を育てます。
- 均一な打ち込み × 手の判断による糸替え/止め
- からみ織りなど、古機ならではの速度・間合いが活きる表現
手織り機(足踏み式)
代々受け継がれてきた「手織り機(足踏み式)」を整備しながら使っています。友人から譲り受けたものもあり、現在(2025年9月)15台の手織り機を所有しています。 それぞれの織機の特徴にあった布の創作を目指しています。
からみ織りという技法
からみ織り(絡み織/捩り織)は、経糸を絡ませてから緯糸を通す構造で、 透け感・通気性・目ずれのしにくさを両立する織り方です。和装の「紗・絽・羅」などもこの系譜に入ります。
- 経糸どうしをねじり(絡ませ)→緯糸を抱える構造
- 軽やか・清涼、凹凸ある表情、透け感のある布創作
いまのyamamayu:織りと暮らし
古い力織機の均一性に、人の手で糸を差す“間”を重ねる—— そんな織りがyamamayuの布の核です。日々の整備や初織りの儀式も、受け継がれてきた大切な営み。
読む・見る(関連記事)
- 力織機での織り(ブログ):糸替えや配色の迷い、スピードとの対話。
- 古い力織機での織り(2025年1月):2台の初織り、4配色の経糸。
- 伝統的な力織機と現代の布(博多大丸 展案内):初織り・整備とものづくりの姿勢。
よくある質問
Q.からみ織りの良さは?
軽さ・通気性・目ずれしにくさ・立体的な陰影。夏の布や透けを楽しむ意匠に向きます。

