野蚕

野蚕とは、繭から糸がとれる野生(野外で放し飼い)の昆虫の総称です。

ヤママユ(天蚕)

日本在来の代表的な野蚕です。

学名: Anthraea Yamamai

科目: ヤママユガ科

棲息地: 北海道から九州にかけての主に雑木林に分布

食: クヌギ、エゾヤナギなどの葉

その美しさと希少性から「緑のダイヤ」「繊維のダイヤ」と言われるほど貴重なものです。ヤママユはくぬぎ畑で育てます。

四月の下旬より、くぬぎ畑の整備が始まります。地元の方々の力をかりて、木の剪定作業や草刈りなど。その後、ネットを張り、ヤママユ以外の虫たちを駆除します。天蚕以外の虫が付いていると、くぬぎの葉を食べてしまったり、ヤママユを食べてしまったり・・・。その後、去年収穫し保存しておいた卵を植え付けます。4回の脱皮を経過して熟蚕となり、八月頃緑色の繭を収穫します。

繭一粒から約600~700mの糸が得られます。

自然があいてのヤママユ飼育なので、毎年が勉強です。

くぬぎ畑で緑色に輝いた幼虫や繭を発見するのは、いつでも感動します。そんな、輝きをもった糸ですが、全国的にヤママユ飼育をされる方が減ってきているようです。

天蚕の飼育風景はこちらをご覧下さい。

シンジュ蚕

第二次世界大戦中によく飼育された野蚕です。

学名: Samia Acynthia Pryeri

科目: ヤママユガ科

棲息地: 日本全土、朝鮮半島や中国に分布

食: 神樹(ニワウルシ)、クスノキなどの葉

茶褐色の繭を作ります。

戦時中にパラシュートを作る為に飼育が試みられた野蚕です。

その繭より、カシミアタッチの糸作りを挑戦しています。

アタカス蚕(与那国蚕)

バリ島で見つけた世界最大の野蚕です。

学名: Attacus Atlas

科目: ヤママユガ科

棲息地: インドから東南アジア、中国、台湾、日本にかけて幅広く分布

食: アボガドやカシューナッツなどの葉

成虫は、羽を広げて30センチ。世界一大きいといわれています。茶色の大型繭を作ります。

日本では与那国蚕と呼ばれ、日本の最西端の島与那国島に多く生息し、沖縄県指定天然記念物です。

クリキュラ蚕(黄金の繭)

黄金の繭を作る野蚕です。

学名: Cricula Trifenestrata

科目: ヤママユガ科

棲息地: 東南アジア一帯

食: アボガド。カシューナッツ・ランプータンなどの葉

バリ人の友人が「どこにでもあるよ。」と言って、この黄金の繭を持ってきてくれました。

現在私たちなりの糸を作る方法を研究中です。

野蚕の糸を使った織り布は作品のページをご覧下さい。