1. 天蚕の魅力
天蚕(ヤママユ)は、日本の山間部(落葉樹林)に生息する日本在来の野生の蚕で、希少性と美しい光沢を持つ繭を生産します。

2. 飼育の様子
山梨県市川三郷町の自然に囲まれた環境で、天蚕の飼育が行われています。
天蚕の植樹となるくぬぎの木を植え、木の枝に卵をつけて飼養します。
この地域では何カ所で天蚕飼育がおこなわれていたので、何本ものクヌギの木が植樹されている場所を見かけることができます。


3. 天蚕のライフサイクル
- 卵:晩夏に産卵された卵は、越冬し、4月下旬に孵化します。
- 幼虫:クヌギ、ナラ、カシワ、カシなどの葉を食べながら成長します。
四回脱皮(四眠五齢)して発育します。
幼虫の期間は約55日間。
1齢幼虫 約10日(1眠)
2齢幼虫 約10日(2眠)
3齢幼虫 約10日(3眠)
4齢幼虫 約10日(4眠)
5齢幼虫 約15日 - 繭:約2日間で飼葉に繭を作り、蛹になります。
繭糸長は約600~700メートル。
蛹の期間は約20~90日間と、発育経過の早いものから順に蛾になる。 - 成虫:8月上旬~10月下旬に羽化し、交尾、産卵して次世代へ命をつなぎます。
蛾の期間は5日間。
4. 天蚕糸の特徴
天蚕糸は、独特の光沢があり軽くて柔らかさを持ち、また、糸の中に空気が入っているため保温性が高く、丈夫な特性があります。野外で生息しているので、家蚕にくらべ紫外線を防ぐ力が強いとも言われています。他の繊維には見られない天然絹糸そのものの美しさがあるので、「繊維の女王」、「織物のダイヤモンド」などと呼ばれています。

5. ギャラリー






※参考文献 天蚕 中嶋福雄著 農文協








