真綿づくりは、繭を煮るところから始まります。
この工程は、繭の表面にあるたんぱく質をほどよくゆるめ、層をやわらかく開きやすくするための下ごしらえです。
yamamayuでは、繊維を傷めすぎないことを大切にしながら、繭の様子を見て、やさしく進めています。
注意:長時間・高温・高アルカリは繊維に負担をかけることがあります。
ここでご紹介する温度・時間・濃度は、工房でのやり方の一例です。
目次
事前準備(濡らし)
乾いた繭は浮きやすく、煮え方にむらが出やすいため、先にしっかり水を含ませます。
ぬるま湯に浸け、ゆっくり押し沈めて、中まで水がまわるようにします。
- 温水で30〜60分浸す(前日から一晩浸け置いても可)
- ゆっくり押し沈め、繭の内部まで水を行き渡らせる
工房でのやり方
工房では、やさしくじっくり進める方法と、少し短時間で仕上げる方法を使い分けています。
どちらも大切なのは、煮すぎないことです。
やさしく進める方法
- 繭:500g
- 水:10L
- 重曹:60g
- 粉石けん:10g
- 温度・時間:90〜95℃で60〜90分
- ときどきやさしく上下を返す
弱アルカリで進めるため、繊維への負担が比較的少なく、ふっくらやわらかく仕上がりやすい方法です。
短時間で仕上げる方法
- 繭:500g
- 水:10L
- 炭酸ナトリウム(ソーダ灰):20g
- 粉石けん:10g
- 温度・時間:95〜98℃で30〜45分
- ときどきやさしく上下を返す
こちらは短時間で進められますが、強めのアルカリになるため、温度と時間を上げすぎないことが大切です。
すすぎと中和
- 温水でしっかりすすぐ(50〜60℃で10〜20分×2回が目安)
- 必要に応じて、クエン酸や少量の食酢で短時間の中和すすぎをする
完成の見きわめ
ひとつだけ取り出して水で流し、層の開き方を確認します。
指でそっと触れたときに、繭の層がやさしく開き、無理なく薄く広がるようならちょうどよい状態です。
ちょっとだけ科学の話
繭の表面には、セリシンというたんぱく質があります。
これが熱とアルカリでゆるみ、層が開きやすくなります。
ただし、やりすぎると絹の中心となるフィブロインにも負担がかかるため、温度・時間・濃度を見ながら進めることが大切です。
安全と環境への配慮
- 耐熱手袋・エプロンを使い、換気を確保する
- 排液はできるだけ薄め、負担を減らして扱う
- 蛹や繭かすは堆肥へ戻す
よくある質問
Q. 重曹とソーダ灰はどう使い分けますか?
A. やさしく時間をかけたいときは重曹、短時間で進めたいときはソーダ灰を使います。
Q. どこまでセリシンを落とせばよいですか?
A. 真綿づくりでは、層が素直に開く程度で十分です。やりすぎると風合いや強度が落ちることがあります。
Q. 石けんはなぜ使いますか?
A. 繭を湯になじませやすくし、むらなく進める助けになるためです。
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