真綿のおはなし

お蚕さんの蛹だしをした繭を、指を使って真綿状にふわふわにする作業は、瞑想のように心が穏やかになる一時です。

動き回ることが大好きな子供たちですら夢中になります。

知的障害を抱えた友人も、糸を紡ぐことは難しかったけれど、この真綿にする作業は熱心にやっていました。

命あるものからできている真綿は、柔らかで、暖かで、きっと私達の心を癒やす不思議な力を持っているのだと思います。


お蚕さんのまゆからは、四種類の糸ができます。

生糸
玉糸(二頭以上の蚕が一緒につくった繭からひいた糸)
絹紡糸(くず糸やきれいにまゆのならなかったものを紡いだ糸)
真綿 → 紬糸(真綿を煮て綿状にしたものを紡いだ糸)

生糸
紬糸
手紡糸

現在ではワタと言えば木綿・羊毛・化学繊維でできたワタが主流ですが、明治・大正から昭和の中頃までは暮らしの中で真綿が大活躍でした。

綿
羊毛
ポリエステル

この写真ではあまり違いがわかりませんが(笑)、絹以外は繊維が切れているので感触が全然違います。

日本のあちこちで養蚕が盛んだった頃、蚕を育て、繭をつくり、きれいな繭からは糸をひき、その生糸で着物やパラシュートなどがつくられました。
くず繭(汚れてしまったり、形が崩れていたりして糸がひけない繭)は真綿にして、布団や衣類の中綿や、赤ちゃんの誕生祝いに送られたりと、軽くて暖かい真綿は人々の暮らしには欠かせないものでした。

角綿
布団やはんてんなどの中綿に使われます。
袋真綿
紬糸用などになります。

真綿の魅力

なんといっても、他の繊維にはない美しい光沢があることです。
外部の光をよく吸収し、さらによく反射します。光は、すぐに反射するものもあれば、複雑に(フィブロイン)繊維の中を行ったり来たりしながら反射するものもあります。その為、いろいろな角度からやさしい光沢が生まれます。

手紡ぎ真綿糸のからみ織布

1000メートル以上もの長さの細い糸が蜘蛛の巣のように絡み合ってできている真綿は、とても強くて丈夫です。

さらに、細い繊維が絡みあった隙間には空気がたくさん含まれているので、とても軽くて、ふんわりやわらかです。また、じっくりと温めてくれるので、保温性が高いです。

繭糸をつくっているフィブロインというタンパク質には小さな穴が無数にあり、水をため、一気に外へ出す性質があります。また、水をひきつける性質もあるため、水分をよく吸収してくれます。放湿性と吸湿性があるので蒸れずに、梅雨時や夏などは快適です

静電気もおきにくく臭気を吸収しやすく紫外線もカットし、人間に必要なアミノ酸も含まれているので、老化防止にもなります。体にやさしく、肌触りもよく、羊毛や綿花のワタのように繊維くずがでないので、アトピーなどの肌の弱い方にも使いやすいです。

山まゆの里染織工房では、暮らしから遠のいてしまった自然からの贈り物の真綿を、布やオブジェの創作とワークショップを通して、お蚕さんの命への感謝と共に、次世代にも真綿の魅力を伝えていく取り組みをしています。

さらにご興味のある方は、

                             をご覧ください。