家蚕の飼育は、桑の葉を食べ始める幼虫の姿からだけではなく、その前の小さな卵の時間から始まっています。
産みつけられた直後の淡い色、冬を越す卵、春の光に合わせて一斉に孵化する気配。そこには、静かですが確かな変化があります。
このページでは、産卵直後の卵から孵化までの流れを、yamamayuでの飼育記録をもとに、あらためて見やすくまとめました。
This journal traces the quiet beginning of silkworm life, from newly laid eggs to the morning of hatching.
卵の色が教えてくれること | What Egg Color Tells Us

産卵後の卵
蚕種
カイコの成虫が産卵してすぐのたまごは、薄い黄白色をしています。
非休眠卵
2〜3日たっても色に変化が見られない場合、その卵は非休眠卵です。25℃ほどの環境では、10日前後で孵化します。
休眠卵
たまごの色が黒っぽく変化した場合は休眠卵です。これは、受精卵が初期の発育段階でいったん成長を止め、冬を越えるための状態に入っているためです。暖かいだけでは孵化せず、一定期間の低温を経てから、春の訪れとともに発育が再開します。
A subtle change in egg color already tells whether the life inside will hatch soon or wait through the winter.
孵化の前のしるし | Signs Before Hatching

孵化前の卵
2022年5月14日
点青
孵化の2日ほど前になると、卵の中に黒っぽい点のようなものが見えてきます。これは頭部が透けて見え始めた状態です。
催青
孵化の1日前になると、卵全体が黒っぽくなります。翌朝の孵化が近づいているしるしです。
孵化
催青期の翌朝、卵は一斉に孵化します。卵は明暗を感じ取ることができるため、朝の明るさをきっかけに孵化がそろいます。
管理では、25℃前後・湿度80%ほどの高湿度環境がひとつの目安です。卵を入れたケースの隅に、湿らせたキッチンペーパーなどを置くと乾燥を防ぎやすくなります。また、昼は明るく夜は暗い環境にしておくことも大切です。
Before hatching, the eggs darken little by little, quietly preparing for the morning light.
家蚕の成長の流れ | The Growth of the Silkworm
卵から孵化したあとの家蚕は、脱皮を重ねながら少しずつ大きくなり、やがて繭をつくります。
小さな卵の中にあった時間は、そのまま家蚕の一生のはじまりにつながっています。
The whole life of the silkworm begins here, in the stillness before the first bite of mulberry leaf.
小さなはじまりを見守ること | Watching a Small Beginning
卵の色の変化はとても小さなものですが、その中には、春に向かって動き出す確かな気配があります。
家蚕の飼育は、桑の葉を与えるところからではなく、その前の静かな時間を見守るところから始まっているのだと感じます。
孵化の朝に一斉に動き出す小さな命を見るたびに、毎年新しく、その営みの不思議さに触れています。
Even the smallest eggs carry the sense of spring inside them. Watching them is already part of raising silkworms.
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