熟した蚕が蔟にのぼり、休みなく糸を吐いて、自分の繭をつくっていく時間です。
家蚕の成長の中でも、上蔟から繭づくりの時間は、とても大きな転換点です。
それまで桑の葉を食べ続けていた幼虫が、歩き回って糸を吐く場所を決め、やがて自分の身体を包む繭をつくり始めます。
このページでは、上蔟、営繭、蛹化、収繭までの流れを、yamamayuの飼育記録をもとに静かにたどれる形に整えました。
This journal follows the silkworm from mounting to cocoon-making, through the quiet days when thread becomes a shelter.
上蔟と営繭 | Mounting and Cocoon-Making

上蔟
2022年6月17日
営繭(えいけん)(2〜3日)
熟蚕は多量の尿を出すため、まだ桑を食べている幼虫が汚れたり多湿になったりしないように、蔟(まぶし)へ移してあげます。これが上蔟(じょうぞく)です。
カイコは歩き回りながら糸を吐く場所を決めると、絹糸腺から出された液状絹を吐糸口から出し、蔟に付着させます。
頭と胸を8の字のように動かしながら、少しずつ自分の足場を固めるようにして繭をつくっていきます。
系統によって差はありますが、1個の繭をつくる糸の長さは、およそ1200〜1500mほどになると言われます。
小さな身体から、休みなくそれだけの糸が吐き出されることに、毎回驚かされます。
Once the silkworm is mounted onto the mabushi, it begins the intense work of building a cocoon, drawing out an astonishing length of silk without pause.
蛹化と収繭 | Pupation and Harvesting the Cocoons

営繭
2022年6月18日

繭
2022年6月20日
蛹化
繭をつくり始めてから3日ほどすると、幼虫は繭の中で脱皮をして蛹になります。外から見えるのは静かな繭ですが、その中では大きな変化が起きています。
収繭(上蔟から7日後ぐらい)
蔟から繭をはずして収穫します。繭かきとも呼ばれます。収穫のときには、繭の外側についている毛羽も取り除いていきます。
上蔟から数日後には、幼虫だったものが蛹になり、そのさらに先には成虫の蛾へと続いていきます。
繭は終わりではなく、次の変化の途中にある姿なのだと感じます。
Within just a few days, the silkworm changes again inside the cocoon. Harvesting the cocoon means meeting that moment between larva and moth.
営繭のようす | Watching the Cocoon Being Made
In motion, cocoon-making feels even more astonishing — a small body moving steadily until silk becomes form.
カイコの成長チャート | Growth Chart
This short stage of cocoon-making belongs to a longer cycle, from egg and larva to cocoon and beyond.
小さな身体がつくる大きな変化 | A Small Body, A Great Change
繭づくりの数日は短い時間ですが、その中には、糸を吐き続ける集中と、幼虫から蛹へ変わっていく大きな変化が詰まっています。
静かに見える繭の中で、命は次の姿へ向かって進んでいます。
家蚕を見ていると、布になる前の絹が、どれほど濃い時間を通ってきたのかをあらためて感じます。
A cocoon may look still from the outside, but inside it holds one of the most concentrated moments in the life of the silkworm.
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