
桑を食べ、人のそばで育ち、繭を残して次の命へつないでいく。
蚕は、卵から幼虫、蛹、成虫へと姿を変えながら、およそ50〜60日で一生をめぐります。
その短い命のクライマックスが「繭づくり」です。
ここから、生糸や真綿、手で紡ぐ糸へとつながる素材が生まれます。
いのちのめぐり
卵からかえったばかりの蚕は、黒く小さな蟻蚕(ぎさん)として始まります。
桑の葉を食べながら4回の脱皮を重ね、最後の5齢では、幼虫期に食べる桑葉の大半をこの時期に食べるほど、大きく成長します。
やがて熟蚕(じゅくさん)になると、蔟(まぶし)にのぼり、2〜3日かけて繭をつくります。
その後、繭の中で蛹となり、成虫の蛾となって、また次の命へとつながっていきます。
糸のもとが満ちる時間
幼虫の体の中には、一対の絹糸腺(けんしせん)があります。
5齢のあいだに急速に発達し、熟蚕の頃には、体の大きな部分を「糸のもと」が占めるようになります。
見た目には静かな蚕の体の中で、繭づくりの準備が進んでいる。
その時間を思うと、繭はただの殻ではなく、命の最後に残される仕事のようにも見えてきます。
繭から生まれる糸
生糸
良質な単繭から引かれる、長いフィラメントの糸です。
絹織物の基盤になる、なめらかで均質な糸。
玉糸
二重繭から生まれる糸で、節のある独特の表情をもちます。
きれいに揃いすぎないところに魅力があります。
絹紡糸
くず繭や切れた繊維を集めて紡いだ糸です。
均整があり、扱いやすさをもった糸になります。
真綿から紬糸へ
繭を煮て真綿にし、手で紡いでいく糸です。
ふくらみや温かみがあり、yamamayuの布の大切な表情になります。
繭は、ひとつのかたちのまま終わるのではなく、それぞれ違う糸の表情へと分かれていきます。
yamamayuでは、その違いを生かしながら、布へとつないでいます。
yamamayuの飼育記録
家蚕は、知識として知るだけでなく、実際に育ててみると、成長の速さや命の密度に驚かされます。
工房でも、その記録を少しずつ残しています。
さらに詳しく見たい方は、1齢から5齢までの記録や、小石丸の糸繰りワークショップの記録もご覧ください。
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真綿や糸、そして工房の布へ。
